アイデアから生まれた仮説に肉付けを

■仮説の肉付けって何?
仮説はあくまで仮説、「何らかの課題を解決するためにどうしたら良いかの”仮”解答」ですので、その仮説が解答であると言っている根拠付けをしていかないと、信用を得られません。

”肉付け”というのは”論理づけ”であり、その為にはクリティカルシンキングというアプローチがしばしば行われます。

クリティカルシンキングとは
直訳で「批判的思考」と訳される思考パターンの事で、対象物を見聞きしたままに受け取るのではなく、客観的なおかつ分析的に理解する考え方を指します。
近年は情報氾濫時代でもあり、個人で処理できる量を遥かに上回る情報の渦の中で、問題解決に有効な情報だけを適切かつスピーディに拾い上げる必要があり、この考え方にも注目度が高まっているそうです。

ここで大事な事として、「批判」と「否定」は異なりますのでご注意ください。
混同しがちですが、クリティカルシンキングにおける「批判」とは”情報を分析、吟味して取り入れること”を指しており客観的把握をベースとした正確な理解が必要とされる行動です。
「否定」という言葉はその情報自体を拒絶するという意味合いが強く、また主観的要素を含んでいる事も往々にして良くあるので「批判」とは意味が異なります。

では、具体的にどんな風に使えるものなのか見て行きましょう。

クリティカルシンキングの使い方
”使い方”と言っても、フレームワークやチェックリストと違って、こういう風に使えば良いアウトプットが出ますよ的なものは有りません。
基本としては以下の全体像を頭にいれて、要所要所で「見かけに惑わされず」「多面的に捉えて」「本質を見抜いて」いるかをチェックするという事になります。
その為の勘所や、障害への対応策は引用元の論文が詳しいですが、我々が思考の援けにする分にはこのレベルで良いように思います。

まずは批判的思考のおおよそのイメージをつかんでいただくために,筆者自身が平易な言葉で表現した定義を紹介する。「見かけに惑わされず,多面的にとらえて,本質を見抜くこと」というものであり,図1のように図式化している(道田, 2001)。
図中に示されているように,見かけに惑わされないという「態度」(姿勢,傾向性)を常にもち,多面的に見るという創造性と,本質を見抜くという論理性・合理性をもった思考である。それを問題解決のプロセス(問題発見−解の探索−解の評価−解決)の中に位置づけるならば,図中のフキダシにあるようなつぶやき(自問)を常に行う,ということでもある。
研究のプロセスが問題解決のプロセスであることを考えるならば,このような思考が研究において必要であること,あるいは研究活動の中で一般に行われていることは,理解していただけるであろう。

※引用:道田 泰司; “批判的思考から研究を考える”, 日本化学会情報化学部会誌, Vol. 23, 54 (2005) .
http://www.jstage.jst.go.jp/article/cicsj/23/2/54/_pdf/-char/ja/

図中で言うところの”問題の発見”(課題)と”解決”(仮説)はあるので、その間をこの考え方で、今一度見直してみるだけでも大分違うのではないでしょうか。