白州蒸留所のシングルモルトセミナーのプレゼンテーションが素晴らしかった

先日、山梨県にある白州蒸留所でシングルモルトセミナーを受講してきたのですが。
その際の講師の方のプレゼンテーションスキルが素晴らしかったので、「そもそもプレゼンスキルって何だっけ?」と再考してみました。

一般にプレゼンテーションスキルには大きく分けて3つの要素があると言われています。
用意された資料を元に正しく判りやすく伝える「デリバリースキル」、
正しい情報を元に論理的で判りやすい資料を作る「シナリオスキル」、
話を聞こう・この人の言う事なら信用しようと相手に思わせる「プレゼンス」ですね。


※引用:http://www.hri-japan.co.jp/consulting/person/knowhow-dohow/images/presentation_1.jpg

まぁ「デリバリースキル」「シナリオスキル」は努力すれば大体の人は一定レベルまで身に付きます。
「プレゼンス」はいわゆる自分自身からにじみ出る人間的魅力や、人間について回る付加価値である地位や財産のようなものなので、一朝一夕では身につかず、どうせすぐにどうにかなるものではありません。
色々な経験をしていく中で、オッサンになるにつれて自然についてくるものと考え、今は無視しています。

しかしながら、今回一番大事なのは「プレゼンス」なのではないかと改めて考えさせられました。
話が矛盾してるって?
そうかもしれません。
でも、それでもです。

自分自身今までは、「プレゼンス」というのは経験からでる自信や裏付け、”代表取締役”や”CIO”などといった地位、またはその地位に付随する財産などから作られる総合力的スキルだと思っていました。
いわゆる”権威付け”というやつで、「ソフトバンク孫社長が喋るから聞きに行こうかな」とか「ソニーの部長さんからのアポだったら、忙しいけど時間を割いてもいいかな、後に繋がるかも知れないし」とか。

その認識自体は別に変わっていないし、地位や財産が簡単に作れないというのはその通りだと思いますが、では自信や裏付けはどうでしょう?
例えば、資料を自分自身で作ったり、徹底的にリハーサルをしたりするなど、努力で何とかなりそうな気がしませんか?
米AppleのCEOであるスティーブジョブスが、あの奇跡的なプレゼンテーションの前に気がおかしくなりそうな程の回数のリハーサルをしているというのは有名な話ですね。

また、それ以外にはどうでしょう。
前に書いたように「プレゼンス」=”話を聞こう・この人の言う事なら信用しようと相手に思わせる”力だとして、そういう風に感じるのはどんな時があるでしょう。
「自分にメリットがあると感じられた瞬間」や「仲のいい人の紹介」など色々ありますが、基本的には”相手が自分の事を考えて言ってくれてるんだろうなあと思った瞬間”が一番ではないかと思います。

ひさびさに講習会と名のつくものを受講したからというのもありますが、白州で案内をしてくれた講師の方はそれを突き詰めて考え、実践できていたように思います。
例えば、こんな感じ。
「お客さんの前提知識はきっとバラバラだろう」→「復習と称して、基本にも触れつつ説明」
「お客さんの中には試飲が最大の目的な人も多いだろう」→「冒頭で試飲のタイミングやどんな事をするかアナウンスする」
「写真を取るのに夢中なお客さんがいるなあ」→「変に急がせず、聞きたい人が聞けるように講義しよう」
テイスティングが外れたらプライドが傷つく人もいるだろう」→「目的はあくまで比較であって、当たり外れは全く問題ではないと再三アナウンス」
「更に深堀したいという人や、うんちくを披露したいという人もいるよね」→「終了後は併設バーに随行

講師の方個人のスキルではなくカリキュラムに依存する部分もありますが、一貫して「お客さん1人1人にシングルモルトを好きになって欲しい」という気持ちが伝わってくる素敵な講義でした。
さすがはサントリー、さすがは白州。

自分自身もプレゼンを行う機会が多いので、見習うべき点が多いですね。
聴いてくれている人が何を望んでその場にいるのか、今一度考え直してみたいと思います。

■白州蒸留所 シングルモルト楽しみ方講座
http://www.suntory.co.jp/factory/whisky/midokoro/s_2011_02/index.html